森の軌跡

012.あったかいね

 

胸にあふれるこの思いは何だろう

この確かな胸にある温かみはどこからきたんだろう

 

今までずっと忘れていた

今までずっと信じられなかった

 

いつでもここではないどこかを探していた

目の前にある光を追いかけてきたのに

きっとあれだと感じたものが手に入らなくて

何度も悔しい思いをしてきたのに

 

そっとその小さな箱をあけたそこにいたのは

ずっと待っていたあなただった

 

こんなにも華やかで

こんなにもいとおしくて

こんなにも輝いていて

こんなにもやわらかくて

 

触れてもいい?

いいよ

そばにいてもいい?

いいよ

 

手と手が触れたようで

その手はゆっくりと空気に溶けてゆく

 

嬉しいね

幸せだね

あたたかいね

 

そんな場所がすぐそばにあったなんて知らなかった

どこにもないと信じて疑わなかった

 

でも今は分かる

ちゃんと知ってる

 

光があれば影ができるように

月が満ちてはかけてゆくように

水が高いところから低いとこへ流れるように

火が地から天へと向かっていくように

 

それはここにあって

ずっと待っていた

 

「ここにいるよ」

もうきっと 離れないから

 

 

 

白石 静夜(しらいし しずや)

-森の軌跡