風のささやき

023.誓い

 

山のふもとにある教会の鐘が鳴り響く。

人々のにぎやかで高らかではじける声がこだまする。

男女の新しい人生の門出の誓いがささげられているのだろう。

だれにささげるのだろう。

 

愛する目の前の指輪を交換する相手か、

育ててくれた両親にか、見守ってくれている友人たちにか、

幼いころから見守ってくれていると信じる神にか。

 

病めるときも、健やかなるときも、これを愛し、これを敬い、

慰め、助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?

 

「はい、誓います。」

 

その誓いはあたたかな日差しの下に祝福を受け

光とともに、声とともに、山の彼方に溶けいってしまう

 

どうか、その誓いが、その命尽きるまで真実であるように

どうか、その心を、いつまでも持ち続けられますように

どうか、その笑顔と涙が、彼らの中で大切なものであるように

 

鐘の響く音とともに 空を仰ぐ

 

 

 

白石 静夜(しらいし しずや)

-風のささやき
-